○龍がある山中にて女が人にすてられてまよいいたるを、金を
あたへ老人をもつておくりつかハしたる事など、其外色※御咄後より申上候。
どうして、こんなに寂しい人なのだろう、美貌と才気にめぐまれたこの人の心を
あたゝめる何物もないのだろうか、私はいつも自問自答していたのです。
いそいそと燕もまへり
あたゝかく郵便馬車をぬらす春雨
此は是、曾ては祖々の胸を煽り立てた懐郷心(のすたるぢい)の、間歇遺伝(
あたゐずむ)として、現れたものではなからうか。
それはどんな瞬間であつたか、この
あたゝかい詩人の胸に、光栄にも、私と私の娘たちのすがたが浮んだ証拠物件を、私たちは今も大切にしまつてある。
狂ほへる酒に夢みる情緒と、
あたゝかき抱擁に微睡む官能とは、時來るや突如として眼覺め、振盪して微妙なる音樂を節奏し、閃めき來つて恍惚たる繪畫を點綴す。
今日は朝から秋らしくよく晴れた小春日和の
あたゝかさが、光を失つた彼の瞳にもしみるおもひがするのである。
わたしの質問に對して、Kのをぢさんも滿足な返答を
あたへて呉れなかつた。
せめて體を
あたゝめむとて、午食の膳に、三人鼎坐して、杯を飛ばす。