彼は、マスクに口を蔽った、人間よりも、動物に近い顔をして
いる。
わずかに僕が覚えて
いるのは胸に挿していた石竹だけである。
昼も夜も漫然と夢みがちな生活を送りながら、ただ、何か来るべき不可思議なものばかりを待って
いる。
乗った時と同じように、こみあって
いる中をやっと電車から下りて停車場へは
いると、時刻が早いので、まだ級の連中は二三人しか集っていない。
唯、自分は近来ます/\自分らしい道を、自分らしく歩くことによってのみ、多少なりとも成長し得る事を感じて
いる。
それらの人々はいつの間にかいろいろのものの奴隷になって
いる。
それも、侍たちの中には、手のきくやつが
いるまいという事さ。
家じゅうで顔がいちばん私に似て
いるのもこの伯母なら、心もちの上で共通点のいちばん多いのもこの伯母です。