秋の赤蜻蛉、これがまた実に
おびただしいもので、秋晴れの日には小さい竹竿を持って往来に出ると、北の方から無数の赤とんぼがいわゆる雲霞の如くに飛んで来る。
妻はいよいよ怪しんで、火を照らして窺うと、籠のそばには
おびただしい血が流れていた。
今、
おびただしい噴行艇の群も、大宇宙をとんでいく。
そのうちに、わたしが鋸山へ登って、
おびただしい蛇に出逢った話をすると、半七は顔をしかめながら笑った。
しかも
おびただしい松葉を積みくべたのは、そのうず高い灰を見ても知られた。
踊り子の親兄弟や見物の人たちで広い二階は押し合うように埋められて、余った人間は縁側までこぼれ出していたが、楽屋の混雑は更に
おびただしいものであった。
どこへ行ってもそれは
おびただしい猫で、世の中はまったく猫の世界になったようでした。
地球が生れて八十億年、その間にどのくらい
おびただしい人間が生れたか数えられないほど多いが、宇宙塵に化した人間はただひとり、渋谷博士が数えられるだけである。
その
おびただしい疲労のなかにも、会社の仕事はますます繁劇を加えるばかりで、佐山君らはほとんど不眠不休というありさまで働かされた。