尚、不幸中の幸ともいうべきは、地球外よりの侵寇がこの天災のために終熄したことだ。
駈けこんだ時のはづんだ息が靜まると、門のさゝやかな板葺屋根に
尚ぱら/\とあたる雨の音が聞える。
それに赤い夕陽が斜めに光線を投げて、木立の中に縞の赤い明るみを織り出し、
尚一入の奥床しさを添えている。
ぢつとしてゐても動悸がひどく感じられて鎮めようとすると、
尚ほ襲はれたやうに激しくなつて行くのであつた。
何がさて萬金
尚ほ易じと愛惜して居る石のことゆゑ、雲飛は一言のもとに之を謝絶して了つた。
が、宿りつゝ、其處に虎杖の里を彼方に視て、心も足も運べない時の儚さには
尚ほ堪へられまい、と思ひなやんで居ますうちに——
譲吉は、此日三十円を受けながら、卒業してからも
尚、夫人を煩わして居ることを少しは情なく思ったが、夫人に頼らずには、実際何も出来なかった。