「しかしどう云う人だったでしょう? 僕はただ本多少佐の顔だけ見覚えている
くらいなんですが、……」
そう云えば病的な気がする
くらい、米噛みにも静脈が浮き出している。
けれども妹の気質を思えば、一旦篤介を愛し出したが最後、どの
くらい情熱に燃えているかはたいてい想像出来るような気がした。
その声もまた不思議にも清太郎の声ではないかと思う
くらいである。
そのまた候補者の御立派なことったら! そりゃあなたに見せたい
くらいよ。
内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どの
くらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
御親子の間がらでありながら、大殿様と若殿様との間
くらい、御容子から御性質まで、うらうえなのも稀でございましょう。
するうち、おなかがへって、気がとおくなりそうなので、テーブルにあった若鶏をひときれ、おっかなびっ
くらたべました。