籠で蛸の形を拵らえて、目玉に金紙が張ってあって、それが風でくるりくるりと引っ
くり返るようになっていた。
そのお駒が突然に冥途へ鞍替えをしたのであるから、伊勢屋の店は引っ
くり返るような騒ぎになった。
しかし弟子のしつけ方がすこぶる厳しい方で、かの寺小屋の芝居でもみる涎
くりのように、水を持って立たされる手習い子が毎日幾人もあった。
虱が湧いたとかで、頭を
くり/\とバリガンで刈つて終うた、頭つきがいたづらさうに見えて一層親の目に可愛ゆい。
そのふつ
くりと肥つた頬に、鮮かな赤みがさしてゐるのは、何も臙脂をぼかしたのではない。
仕事は放擲らかして、机の上に肘を突き兩掌でぢ
くり/\と鈍痛を覺える頭を揉んでゐると、女中がみしり/\梯子段を昇つて來た。
枯蘆の根にはすすけた泡がかたまって、家鴨の死んだのがその中にぶっ
くり浮んでいた。
池はひつ
くりかへつても居らず、羽目板も落ちず、壁の破も平時のまゝで、月は形は見えないが光は眞白にさして居る。
——これから出掛ける西片町には、友染のふつ
くりした、人形のやうな女の兒が二人ある、それへ土産にと思つた。