……雪が消えて、まだ間もない、乾いたばかりの——山国で——石のごつ
ごつした狭い小路が、霞みながら一条煙のように、ぼっと黄昏れて行く。
時に、当人は、もう蒲団から摺出して、茶縞に浴衣を襲ねた寝着の扮装で、ごつ
ごつして、寒さは寒し、もも尻になって、肩を怒らし、腕組をして、真四角。
手織縞のごつ
ごつした布子に、よれよれの半襟で、唐縮緬の帯を不状に鳩胸に高くしめて、髪はつい通りの束髪に結っている。
その谷川にのぞんだ川べりにはちょっとした牧草もあり、空をつくようなかしの木や、ごつ
ごつしたくりの木がしげっていた。
岩石で恐ろしくごつ
ごつした不毛な島で、一群の黒い岩がその周囲に点々として散在している。