前後の分別に遑無く、用人の素頭、抜手も見せず、ころりと落
しぬ。
置いて行く祝儀もすくなく、一代は相手にしなかったが、十日目の夜だ
しぬけに結婚してくれと言う。
ついに決断して青森行きの船出づるに投じ、突然此地を後にな
しぬ。
頭の上の二階から重い草履がだ
しぬけに飛んで来て、かれの眼をしたたかに撲ったのであった。
城下の者にて幸助を引取り、ゆくゆくは商人に仕立てやらんといいいでしがありしも、可愛き妻には死別れ、さらに独子と離るるは忍びがたしとて辞
しぬ。
あるひは煙にむせびてたふれ伏し、或は炎にまぐれてたちまちに死
しぬ。