其処は三角定規の斜辺についてすこし昇ったようなところで、僕の眼の高さと同じ位のところに、下から数えて五六段目の階段が横から
すいてみえているのであった。
「おなかはいつも
すいているしね、ほしいものは店にならんでいるけれど、高くて買えやしないしね」
御葬式やら何やら彼やらで、随分忙しかったが、やっと二三日手が
すいて、がっかりした気持になって居るところへ君の手紙を受取り、涙ぐましいような感激を覚えた。
この傾斜を上り切って、ひょいと顔を出すと、槍ヶ岳の大身の槍尖が、
すいと穂を立てている、そうして白い雪が、涎懸けのように半月形をして、その根元の頸を巻いている。
休憩の時間を残しながら席に帰った私は、
すいた会場のなかに残っている女の人の顔などをぼんやり見たりしながら、心がやっと少しずつ寛解して来たのを覚えていた。
一人坊っちになるとそろそろ腹の
すいたのを感じだしでもしたか、その子供は何の気なしに車から尻を浮かして立ち上がろうとしたのだ。
その「
すいは」と云ふのはここに云ふすかんぽではない。
外から帰って来た為吉は、縁側に網を
すいている父親の姿を見るや否や、まだ立ち止らない中にこう言いました。
まるで理屈の根本が違って来たじゃないか、——やっぱりわしをかせがすつもりサ……とまで考えて来た時、老人はちょうど一本の煙草を
すい切った。