手は青珠の「こん
たつ」に指をからめたり離したりしている。
しかしこの「すれば」は、何時まで
たつても、結局「すれば」であつた。
温泉そのものは消極性の自分の病気には却つてわるいので、私はただ静かな環境に
たつたひとりでゐることを欲したのである。
なれど親の代から「ぜんちよ」(異教徒)の輩であらなんだ事だけは、手くびにかけた青玉の「こん
たつ」(念珠)を見ても、知れたと申す。
が、かうして愈末期の水をとつて見ると、自分の実際の心もちは全然その芝居めいた予測を裏切つて、如何にも冷淡に澄みわ
たつてゐる。
さうして彼等の払つて行く金が、稀に約束の額より多かつた時は、
たつた一人の父親を、一杯でも余計好きな酒に飽かせてやる事を楽しみにしてゐた。
右様の儀は、日頃御信仰の泥烏須如来に御頼みあつて然る可く、もし、
たつて私、検脈を所望致され候上は、切支丹宗門御帰依の儀、以後堅く御無用たる可く候。
第一の妃が御なくなりなすつたのに、十一人しか黄泉の御供を御させ申さないと云ふ法があらうか?
たつた皆で十一人!」
実際ふところ子の姫君には
たつた一人の乳母の外に、たよるものは何もないのだつた。
その先生は暫く
たつてから、わたしの学校の先生がわたしを受けとりにやつて来た時、何度もかう言つてあやまつてゐました。