其時に上から女事務員の顔を見ると、あゝ大穴でも取つたやうな
にこ/\顔して、福助の手が握れるとむづ/\して居つた。
佐佐木君は二三日前
にこゝにいましたが、その間も何とか云うピランデロの芝居やサラア・ベルナアルのメモアの話などをし、大いに僕を啓発してくれました。
而も其呪力の根源力を抽象して、興台産霊神——日本紀・姓氏録共
にこゝとと訓註して居るのは、古い誤りであらう——といふ神を考へて居る。
そしてその女に今ごろこの暴風雨
にこゝへきた事情をたづねました。
賢一郎(兄)に扮した一座の名優らしいのが、恨めしげ
にこつちを見てゐる。
その書齋
にこもつて、どこか圭角があり矜持するところの高かつた秀才がシエレエの詩集を耽讀してゐる。
この試演の夕
にこゝに集つた鑑賞家は東京に於ける教養の高い人々のみである。
われはまた、「南畝の人」の完成を望み、「石彫獅子の賦」に御苑にたゝむ雄姿をおもひ、其第二章数節の直截にして遒勁なる
にこゝろ牽かれて、巻を掩ひあへざらむとす。
——ちやうどその時、向ふの廊下をまつすぐ
にこつちへ向いてくる靴のおとがきこえてきた。
ノラは戸を閉めて默つて嬉し氣に
にこ/\し續けながら外出仕度のものを脱ぐ。