一メートルばかりの金属光沢をもった短いステッキを、防弾手袋を
はめた片手に持っている。
煎茶道の中興の祖、上田秋成が書いてゐる「もう何も出来ぬ故、煎茶を飲んで死をき
はめてゐるばかりだ」と。
頭が奇麗に禿げていて、カンカン帽子を冠っているのが、まるで栓を
はめたように見える。
当然坂田の名人自称問題は紛糾をき
はめて、その挙句坂田は東京方棋士と絶縁し、やがて関東、関西を問はず、一切の対局から遠ざかつてしまつた。
戦争とは何等関係のない、平時には、軍紀の厳重な軍隊では許されない面白おかしい悪戯や、出たらめや、
はめをはずした動作が、やってみたくてたまらなくなるのだった。
彼はただじっと両膝をかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、(鉄格子を
はめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張っていた。
その男は老看守の人の好さそうなのにつけこんだらしい馴れ馴れしい調子で、手錠を
はめられた手を窮屈そうにもみ手をしながら答えた。
手錠を
はめられなんだだけがせめてものことであった。
行こうと返事をして手袋を
はめているうちに中原はもう歩きだした。