しかもなお、
ばかばかしさが千倍万倍に増長していくのだから。
なんという
ばかばかしい話であろう——と、思う読者があるだろう。
ばかばかしい目に逢ったとも思ったが、半信半疑で何だか心持がよくないので、その日は貸家さがしを中止して、そのまま師匠の家へ帰った。
実に途方もない奇怪な出来事ではあるが、寺の方からその届け出があった以上、寺社奉行も単に
ばかばかしいといって捨てて置くわけにも行かなかった。
「もう少し眠りつづけて、
ばかばかしいことはみんな忘れてしまったら、どうだろう」と、考えたが、全然そうはいかなかった。