だいがくの
ひげこは二重の上の方が大きくて、直径一丈で、下の方のは大分小さい。
それは明治維新の前後に出来たもので、どこの国の白人かはしらないが、ヤリウスという鼻の高い赤い
ひげのからだの大きな人が、そこへあれを建てたということだ。
するとその小坊主というのは勝軍地蔵さまで、大きな
ひげ男と見えたのは勝敵毘沙門天に違いありません。
あごの無精
ひげを指先でつんつんとひっぱりながら、じっとご奉行神尾元勝の顔を見ているうちに、かれの玻璃板のごとき心鏡は、玲瓏として澄み渡ってまいりました。
しかし、右門は何を話しかけられても、お手のもののむっつり屋を決め込んで、よほどたいくつしたものか、しきりにあごのまばら
ひげをまさぐりつづけました。
ほんとうに芋虫のごとく寝ころがって無精
ひげをまさぐっていた右門が、むっくり起き上がると、きまじめな顔でぽつりと伝六にいいました。
波止場近くの草ッ原の雑草は、一カ月見ないうちに、病人の顎
ひげのように長く伸び乱れているのである。
或日「ろおれんぞ」を召されて、白
ひげを噛みながら、「その方、傘張の娘と兎角の噂ある由を聞いたが、よもやまことではあるまい。
頭の少しはげた、でっぷりとふとった客は「ウン」と言ったぎり黄金縁めがねの中で細い目をぱちつかして、鼻下のまっ黒な
ひげを右手でひねくりながら考えている。
しかしさすがの「
ひげ」も取り逃がした予言が一つある、ただ幾百年の間、人間の運命をながめていた「杉の杜」のみは予め知っていたに違いない。