お君は左の手のひらに
ひと掴みの米をのせて来て、右の指さきで一粒ずつ摘みながら箱の穴のなかへ丁寧におとしてやると、青い蛇の頭が又あらわれた。
それから君がいったら案内するように、留守番の園丁にも
ひと筆かいてやる。
先ず三包みを扇にのせたるそがままに、……三犬士、この金は三十両を
ひと包みとせり。
すると、そこへ又
ひとりの浪人風の男が来かかって、前の侍を
ひと眼見ると、たちまちに気色をかえて大音に叫びました。
当節のご隠居さまは、血の道がおかれあそばしましても、
ひと筆しめしまいらせそろなんて、いろっぽいお手紙をお書きなさるのかね——」
翁はこの主人と
ひととおり、初対面の挨拶をすませると、早速名高い黄一峯を見せていただきたいと言いだしました。
台所から首を出している母らしい
ひとの眼を彼は避けた。
夕暮わけもなく坂の上に佇んでゐた私の顔が、坂を上つて来る制服の
ひとをみて、夕陽を浴びたやうにぱつと赧くなつたことも、今はなつかしい想ひ出である。