今日の言語情調からすれば、
ぼる(貪)と言ふ語と親類らしく感ぜられるのであるが、事実は、やはり別であらう。
ここで、私が思い浮べたのは、北米ポートランド市の、シチイ・パークから遠望した、フッド火山の、においこ
ぼるる白無垢小袖の、ろうたけた姿であった。
蓮歩を移す裾捌にはら/\とこ
ぼるゝ風情、蓋し散る花のながめに過ぎたり。
そのようにして私は、真夏の白昼舌のような火炎を作り、揺らぎの
ぼる陽炎に打ち震える、夏菊の長い茎などを見やっては、とくりともなく、海の幻想に浸るのが常であった。
僕は黙々としてその後につきしたがったが、階段を一つの
ぼるごとに、僕の心臓はまた一段とたかく動悸をうつのであった。
夜は、はや秋の螢なるべし、風に稻葉のそよぐ中を、影淡くはら/\とこ
ぼるゝ状あはれなり。