慣れても、真新しい風情の中に、其の釣鐘草の交つたのが、
わけて珍らしかつたのである。
私は鬼の審判官と共に言葉をより分け、言葉にこもる真偽を嗅ぎ
わけてをるので、かうして架空な情熱も思想もすべて襟首をつまんで投げやられてしまふ。
大女の、
わけて櫛巻に無雑作に引束ねた黒髪の房々とした濡色と、色の白さは目覚しい。
山吹の花の、
わけて白く咲きたる、小雨の葉の色も、ゆあみしたる美しき女の、眉あおき風情に似ずやとて、——
更に、ある思想を幾色に言ひ
わける事が出来るかなど言ふ事を暗に練習させて来た。
判然と言ひ
わける事は、却て不自然で、謬つた結果に陥る訣なのである。
わけて正月の初会能に勤める時は、われながらまことに目出度い心持に溢れ、よくぞ能の家に生れて来たと思ふ。
わけて此の頃や、山々のみどりの中に、白百合の俤こそなつかしく涼しく候へ。
すると、李小二も、いよいよ、あぶらがのって、忙しく鼓板を叩きながら、巧に一座の鼠を使い
わける。
まことにもの想う人は、季節の移りかわりを敏感に感ずるなかにも、
わけていわゆる秋のけはいの立ちそめるのを、ひと一倍しみじみと感ずることであろう。