それを私が「道鏡」と題したのは、
ジャーナリズムに媚びたので、いはば商品としての題名、私はいささかサモしい魂胆であつたに相違ない。
だいたい、この小説の構成原理は、文学でなしに、
ジャーナリズムの原理によつて成されてゐる。
この
ジャーナリズムの断定態度というものには、知的性格がまったく欠如しているのである。
まだ捕縛されたばかりだから、彼に関する報道はまったく
ジャーナリズムの紋切型の観察や断定だけで、彼の個性を伝えていると思われるものはない。
ジャーナリズムの威力では女流作家を殺す力はないであろう。
いわゆる
ジャーナリズムの上では地味だが、これほど日本人の生活に密着した芸術はないかも知れないのである。
既に有望な新進作家として文壇
ジャーナリズムにも遇せられてゐるらしいから、この上は、自重して決定的な傑作を見せてほしい。
そしてそれだけ、小説がジャーナリスチックになり、
ジャーナリズムに征服されたのだとみられる。