夕食前の小半時、巴里のキャフェの
テラスは特別に混雑する。
キャフェの
テラスに並んでうそ寒く肩をしぼめながら誂えたコーヒの色は一きわきめこまかに濃く色が沈んで、唇に当るグラスの親しみも余計しみじみと感ぜられる。
キャフェの
テラスが家庭の延長のやうなパリジャンにとつて、常にマロニエが忘れ得ぬ友達であるのは、当然だと思つた。
私はド
テラの着流しのまゝ急に思ひたつて京都へ行つた。
ビールの満をひいて顔を
テラテラ光らせていたモダンボーイの帆村とは異り、もうすっかりシェファードのように敏感な帆村探偵になりきっていた。
彼は、妻のために夜具を敷き、隣家の細君にちよつと声をかけておいて、ド
テラ姿のまま家を飛びだした。
振り動かすカン
テラの火の尾をひくような、間のびした声で、駅の名を称んでいた。
すると若い土工が一人、穴の中から半身を露したまま、カン
テラを側へのけてくれた。
歩道へ半分ほどもテーブルを並べ出して、角隅を硝子屏風で囲ってある
テラスのまん中に置いた円い暖炉が背中にだけ熱い。