稽古場に帰って、皆で感想を語り合ったが、私が座員諸君の注意を促したのは、
モスクワ芸術座の「どん底」が、想像以上に明るい印象を与えた、ということであった。
ところが、一九二二年に、
モスクワ芸術座がパリで十日間の公演を行ひ、たしか八つの演し物を代る代るやつて見せた。
こゝで、はしなくも思ひ起すのであるが、かのナポレオンは、
モスクワ遠征の陣中に於て、有名な「国立劇場条令」なるものを起草せしめたといふ記録である。
陰惨なペトログラードや、
モスクワオの生活をするものは、南露西亜の自然と生活をどんなに慕うだろう。
モスクワへ行きたい希望を抑えることができなかった。