が、食ってしまって見ると、椀の底に残っているのは
一寸ほどの蛇の頭だった。
その内に川の水は、
一寸ずつ、一尺ずつ、次第に洲の上へ上って来る。
門は例の通り開つ放しだから敲く世話も入ず、二人はずん/\と内へ入つて見たが草木が縱横に茂つて居るのでラクダルの居所も
一寸知れなかつた。
徳二郎は
一寸立ち止まつて聽耳を立てたやうであつたが、つか/\と右なる方の板塀に近いて向へ押すと此處は潜内になつて居て黒い戸が音もなく開いた。
藤「お内儀さんが、
一寸長兵衞さんに御相談申したい事があるから、直に一緒に来るようにという事で」
宗「これは恐入ります、何か足に引掛りましたから
一寸」
武「是は御家内か、私も酒が嗜きでな、此処を通る度に御亭主が飲んで居る、今
一寸買物をして見ると矢張飲んで居て羨しく遂やる気になりました」
「そうか、おれも実は二度ばかり来た家だがな、こう夜深に暗くては、
一寸も判らん。