私ども内輪でいくらやかましくいっていても、料理人たちは
上の空でだめですから、こういう機会に、本気で聞かせようと思っているのであります。
御客様がたは、だいぶ御酒を召しあがって、随分上機嫌におなり遊ばしましたが、私は恐しいやら、苦しいやら、恥かしいやらで、心も
上の空で御座いました。
上の空の足が躍つて、ともすれば局の袴に躓かうとする状は、燃立つ躑躅の花の裡に、鼬が狂ふやうである。
ことに門の
上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたようにはっきり見えた。
やがて、その黒い点は、だんだん大きくなって、みんなの頭の
上の空に飛んできたのです。
殊に門の
上の空が、夕燒けであかくなる時には、それが胡麻をまいたやうにはつきり見えた。
橡の若葉が重なり合つて、路の
上の空を遮つた枝には、二匹の仔猿をつれた親猿が、静に私たちを見下してゐた。
その木の
上の空には、あけ方の半透明な光が漂つて、吐息ほどの風さへない。
だから彼女は馬車の中でも、折々話しかける父親に、
上の空の返事ばかり与へてゐた。