不愍と思ひ、文字を落して
下さりませ」見れば一匹の狸であつた。
「早朝より静謐を騒がせまして、無礼の段、特におゆるし
下さりませ」
時刻が経ちまするので、ただ居てはと思召して、婆々に御馳走にあなた様、いろいろなものをお取り
下さりますように存じます、ほほほほほ。
……紐を放れた孕独楽が、さながら生ける魂あって、自在に動く神妙の働き、お眼とめてご覧じ
下さりませ! ……東西々々」
それに主人の御用向きで、少しく先を急がねばなりませぬゆえ、もうお許しなされまして、道をおあけ
下さりませ。
どうぞなされたかも知れませぬゆえ、早う止めて、ちょっと御容子を見て
下さりませ」
へえ、へえ、早速これへ持參いたしました人參、一應御覽
下さりまするやう、へえ。