けれども兎に角人手を借らずにピアノの鳴つたのは
不思議だつた。
あの家の店へ這入ると、帳場のわきに大きなすつぽんが火燵に倚りかゝつてゐたので、これは
不思議だと思つてよく見ると、すつぽんでなくて亭主であつた。
早瀬 そうさな、不思議と云えば
不思議だよ、世の中の事は分らないものだからな。
「ええ、ま、そういえばそうなんだが、その先が少し
不思議だから、そう急がずにお聞きなせえよ。
と彼の書生は、木立の間なる新築の屋根を顧みつゝ「何うも
不思議だナ、僕は殆ど信ずることが出来んよ」
悪性の病をわずらって悪臭を放ち、それを消すために安香水の匂いをプンプンさせていたが、そんな頭の働かせ方がむしろ
不思議だとされていた。
「なんという
不思議だろうこの石化は? 今なら、あの白い手がたとえあの上で殺人を演じても、誰一人叫び出そうとはしないだろう」
が、いくら売立てが流行るにしても、正物の寒山拾得が揃つて飯田橋を歩いてゐるのも
不思議だから、隣の道具屋らしい男の袖を引張つて、
不思議だと思つて讀んで行くと、エメルソンの語までが引用に出て來たのである。
生娘の袖誰が曳いてか雉子の聲で、ケンもほろゝの無愛嬌者、其癖甘いから
不思議だとさ。