元来体の弱かった母は一粒種の彼を産んだ後さえ、一滴の乳も
与えなかった。
博学なる君はパンデン・アアジシャのラッサに
与えた名を知っているであろう。
しかしこう言う見すぼらしさはやはり僕には失望に近い感情を
与えたのに違いなかった。
これは山里村居つきの農夫、憐みの深いじょあん孫七は、とうにこの童女の額へ、ばぷちずものおん水を注いだ上、まりやと云う名を
与えていた。
が、一方ではまたその当然すぎる事が、多少の反撥を心に
与えたので、私は子爵の言が終ると共に、話題を当時から引離して、一般的な浮世絵の発達へ運ぼうと思っていた。
あるいは己の愛している女に、それほどまでに媚びようとするあの男の熱情が、愛人たる己にある種の満足を
与えてくれるからかも知れない。
そうして、その集注されていると云う事を意識するのが斉広にとっては、かなり愉快な感じを
与えた。
そうしてその入口の両側には、見上げるような大書棚が、何段となく古ぼけた背皮を並べて、まるで学問の守備でもしている砦のような感を
与えていた。
したがって他人には天国を
与えても、——あるいは天国に至る途を
与えても、天国はついにそれらの人々自身のものになることはできない。
しかし、松江の市が自分に
与えたものは満足ばかりではない。