棕梠の紋所との形似を思はせる此だしは「輪貫き」を中心にして、風車の様に、四方へ
丸形に拡つて居る。
長沙に六年もいるBさんはきょうも特に※江
丸へ出迎いに来てくれる筈になっていた。
家も河岸の
丸清と云えば、あの界隈では知らぬものはない。
この多襄
丸と云うやつは、洛中に徘徊する盗人の中でも、女好きのやつでございます。
通り越して、ひょいと向うを見ると、はしなくも目にうつったのは、「易断」と
丸提灯に染めぬいた大道易者のささやかな屋台です。
まして岸を行く往来の人々は、
丸頭巾をかぶつたのも、革足袋をはいたのも、皆凩の吹く世の中を忘れたやうに、うつそりとして歩いて行く。
遠く海のほうを見ると税関の桟橋に繋われた四艘ほどの汽船の中に、葉子が乗って帰った絵島
丸もまじっていた。