犯人は前から計画していたものらしく、
人気のない早朝を選び、飾窓に近づくと、イキナリ小脇に抱えていたハトロン紙包の煉瓦をふりあげ、飾窓目がけて投げつけた。
今、全く
人気の無いこの大きい酒倉のような変電所の中では、ただ機械だけが悪魔の心臓のように生きているのであった。
しかし僕は習慣上朝らしい気もちを持ったまま、
人気のない台所へ顔を洗いに行った。
しかもその場所は
人気のない海べ、——ただ灰色の浪ばかりが、砂の上に寄せては倒れる、いかにも寂しい海べだったのです。
竹の中に痩せ杉の交った、
人気のない所でございます。
さりながら
人気の奴隷となるも畢竟は俗物済度といふ殊勝らしき奥の手があれば強ち無用と呼ばゝるにあらず、却て之れ中々の大事決して等閑にしがたし。
その中でも可笑しいのは
人気のない町を行く赤電車や青電車が、乗る人もない停留場へちゃんと止まる事でしょう。
「いくさ」の空気の漂つた、
人気のない家の台所に短銃をいぢつてゐる一人の乞食——それは確に小説じみた、物珍らしい光景に違ひなかつた。
——それぎり良平は使の帰りに、
人気のない工事場のトロツコを見ても、二度と乗つて見ようと思つた事はない。
暗らくなった谷を距てて少し此方よりも高い位の平地に、忘れたように間をおいてともされた市街地のかすかな灯影は、
人気のない所よりもかえって自然を淋しく見せた。