一隻の小船が、日傘をさした男と船夫とを乗せて、ノタノタと動いていたが、その横を通った大きな汽船の
余波を食って、転覆しかかっているのであった。
この村などは、明治初年この辺一帯に行はれた、奴隷解放運動に似た、被官廃止の騒動の
余波を激しく受けて、旧来の歴史を随分に一蹴した事実もあるのである。
船のある事……帆柱に巻着いた赤い雲は、夕日の
余波で、鰐の口へ血の晩御飯を注込むんだわね。
何んの
余波やら、庵にも、座にも、袖にも、菜種の薫が染みたのである。
今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな
余波にほかならない。
私の郷里は(宮城県玉造郡一栗村上野目天王寺)——奥羽山脈と北上山脈との
余波に追い狭められた谷間の村落である。
ことに十九世紀末から今世紀の初めにかけてオマル・ハイヤーム熱は一種の流行となって英米を風靡し、その
余波は大陸諸国にも及んだ。