あの家の店へ這入ると、帳場のわきに大きなすつぽんが火燵に
倚りかゝつてゐたので、これは不思議だと思つてよく見ると、すつぽんでなくて亭主であつた。
紙鳶挙ぐる子供の、風の神弱し、大風吹けよと、謡ふも心憎しなど、窓に
倚りて想ひを碧潭の孤舟に騁せ、眼に銀鱗の飛躍を夢み、寸時恍惚たり。
長椅子が二つ、その一方に老婦人、もう一方に青年が
倚りかかつてゐる。
あの家の店へはいると、帳場のわきに大きなすっぽんが炬燵に
倚りかかっていたので、これは不思議だと思ってよく見ると、すっぽんでなくて亭主であった。
その骸骨は半ばはうしろの壁に
倚りかかり、半ばは紐でその頸を支えていて、片手の指をそのそばに立ててある古い剣の柄がしらの上に置いているのであった。
「やれ、ありがたい」と、彼は自分の立っていたところの椅子に
倚りながら言った。
向者より待合所の縁に
倚りて、一篇の書を繙ける二十四、五の壮佼あり。
薄ぎたなくよごれた顔に充血させて、口を食いしばって、
倚りかかるように前扉に凭たれている様子が彼には笑止に見えた。
日はとっぷり暮れたが月はまだ登らない、時田は燈火も点けないで片足を敷居の上に延ばし、柱に
倚りかかりながら、茫然外面をながめている。