しかし、七百円以下には
値切れそうもないが、案外五百円ぐらいかも知れないぜ」
まさか、屋台店で、食べ物を
値切る人間もないけれど、
値切りかねないのが、名古屋人の腹なのである。
名の優しい香箱を売る姉さんだが、悪く
値切ろうものなら泡のごとく毒を噴く。
「大切なお品を半金に
値切り倒すといっては、先様の思召しがどうあろうも知れない。
それを五十円に
値切りたいのは、僕に余財のない悲しさである。
きのふの午後に見た本屋の蔵庫にあるあの心理の雑誌は、いくばくに
値切るべきであらうか。
本人は、引手茶屋で、勘定を
値切られた時と同じに、是は先方(道具屋の女房)も感情を害したものと思つたらしい。