エレヴェーターを出ると
傍目もふらず、真直ぐに、貴金属部へ靴先を向けた。
体は大いが、小児のように飛着いて纏わる猟犬のあたまを抑えた時、
傍目も触らないで玄関の方へ一文字に行こうとする滝太郎を見着けた。
一、穴場の入口の開くや否や、
傍目もふらず本命へ殺到する群集あり、本命主義の邪道である。
傍目もふらずかたことと驅けて來るのを見ると、器械力と云ふよりも一動物の運動といふ感じがするのである。
其の鐵の如き健脚も、雪を踏んではとぼ/\しながら、前へ立つて足あとを印して上る、民子はあとから
傍目も觸らず、攀ぢ上る心細さ。
そして初手のあひだは、どうやら一生懸命に仕事に身をいれてゐるやうで、紡錘はビイビイ唸り、唄声がはずんで、娘つこたちはめいめい
傍目もふらぬ有様なのぢや。