二十九日、市中を散歩するにわずか二年余見ざりしうちに、著しく家列びもよく道路も
美しくなり、大町末広町なんどおさおさ東京にも劣るべからず。
こう歌っているうちに舞姫たちはだんだん玉雄と照子の方へ近付いて来て、二人のまわりをくるくるまわりながら、白い大きな蝶のように
美しく踊りまわりました。
もし多少の誇張を許すなら、己の袈裟に対する愛なるものも、実はこの欲望を
美しくした、感傷的な心もちに過ぎなかった。
が、紅い庚申薔薇の花は息苦しい光と熱との中に、毎日
美しく咲き狂っていた。
云いながらよく視ると、柳橋の若い芸妓は島田を式のごとく
美しく結いあげていたが、顔には白粉のあともなかった。
ごんごん胡麻は老婆の蓬髪のようになってしまい、霜に
美しく灼けた桜の最後の葉がなくなり、欅が風にかさかさ身を震わすごとに隠れていた風景の部分が現われて来た。
間もなく明子は、その仏蘭西の海軍将校と、「
美しく青きダニウブ」のヴアルスを踊つてゐた。
それでもその絵具をぬると、下手な絵さえがなんだか見ちがえるように
美しく見えるのです。
そして最後に建築物に関しても、松江はその窓と壁と露台とをより
美しくながめしむべき大いなる天恵——ヴェネティアをしてヴェネティアたらしむる水を有している。