もとより巨額の
公債を有し、衣食に事欠かざれば、花車風流に日を送りて、何の不足もあらざる身なるに、月の如くその顔は一片の雲に蔽われて晴るることなし。
始めはこの古い家柄を衷心から尊敬するスコッチの大蔵大臣の肝煎りで手堅い
公債ばかり買い入れ、その利息で楽々生活費が支弁出来た。
そこで、某名流婦人の意見の如く「商品切手」の代りに「愛国
公債」にしてはといふ案も出るわけである。
家でもおたあさんが来た時には
公債や地所で、二、三万円はあったんやけど、お父さんが道楽して使い出したら、笹につけて振るごとしじゃ。