ニコヤカに何でもないような、むしろダラシないような歩きッぷりだが、この裏にある心法
兵法武術の錬磨はいと深遠なのである。
武術か
兵法かそういうものを、諸国を巡って達人に従き、極めようとしている遊歴武士、——といったような姿であった。
成年を越したばかりの若武者であったが、
兵法の上手である上に、銅色を帯びた双の腕には、強い力が溢れている。
元来信玄の
兵法は、密集の突撃部隊を用いて無二無三に突進し、敵陣乱ると見るや、騎馬の軍隊が馳せ入ると云う手段であって、常にこの戦法の下に勝を収めて来たのである。