彼は、元来、この町に、立派な玄関を磨いた医師のうちの、書生
兼小使、と云うが、それほどの用には立つまい、ただ大食いの食客。
(三)鋏君、申
兼たが今夜一ト晩、君の体を貸してくれまいか。
伊豆や相模の歓楽郷
兼保養地に遊ぶほどの余裕のある身分ではないから、房総海岸を最初は撰んだが、海岸はどうも騒雑の気味があるので晩成先生の心に染まなかった。
両親と弟妹の四人は、戦争中に疎開先で戦災にあって死に、東京で大学院学生
兼助手をして残っていた、かれ左馬太だけが生き残っているのである。
朝飯
兼昼飯をすませた後、僕は書斎の置き炬燵へはいり、二三種の新聞を読みはじめた。
そう云う中にたった一人、蟹のために気を吐いたのは酒豪
兼詩人の某代議士である。
信長からの数々の進物に対して、長政は、家重代の石わりと名づけたる備前
兼光の太刀を贈った。
殊に娘の
兼に対しては、飼犬よりもさらに忠実だった。
ウォルコフは、食堂
兼客間になっている室と、寝室とを通りぬけて、奥まった物置きへつれて行かれた。
仙台名影町の吉田屋という旅人宿
兼下宿の奥二階で、そこからある学校へ通っている年の若い教師の客をつかまえて、頬辺の紅い宿の娘がそんなことを言って笑った。