床几の前には
冷たさうな小流があつたから手桶の水を汲まうとして一寸気がついた。
一つの媚めいた青白くも亦とき色の神秘が、着物も皮膚も透して味覚に快い
冷たさを与えた。
六合目——宝永の新火口壁(いわゆる宝永山)まで来ると、さすがに高嶺の冬だと思われる
冷たさが手足の爪先まで沁みて来る。
作品の
冷たさといふものは、いろいろの原因がそれぞれの作家にあるでせうが、森本君といふ人は感情の豊かな人ではなかつたやうです。
初秋の薄ら
冷たさも身に泌みなれた九月下旬の或日の夕方、いよ/\それを取はづさうとして手をかけた。
風も六月の末とはいえ、払暁の湿った
冷たさは、実際の寒気よりも烈しく身を刺した。
それは日に熟んだ柿に比べて、眼覚めるような
冷たさで私の眼を射るのだった。
殊に色の白い男の方になると、こればかりは
冷たさうな掛守りの銀鎖もちらつく程、思入れ小弁慶の胸をひろげてゐた。