見るさえまばゆかった雲の峰は風に吹き崩されて夕方の空が青みわたると、真夏とはいいながらお日様の傾くに連れてさすがに
凌ぎよくなる。
ミルトンの詩を高らかに吟じた処で饑渇は中々に医しがたくカントの哲学に思を潜めたとて厳冬単衣終に
凌ぎがたし。
それらの話から考えると、かれは寒さ
凌ぎに燗酒をしたたかに飲んでの前後不覚に酔い倒れて、とうとう凍え死んでしまったのではあるまいかと半七は判断した。
昔日暴風雨を
凌ぎ、疾雷閃電の猛威を以て、中原を席捲し去りたる夢は今何処にかある。
運よくして思ふこと図に当りなば傲然として人を
凌ぎ、運あしくして躬蹙りなば憂悶して天を恨む。
しかし雛を手放しさへすれば、この大歳の
凌ぎだけはつけられるのに違ひございませんから、母も苦しい父の手前、さうは強いことばかりも申されなかつたのでございませう。
権勢摂※の家を
凌ぎ、一門悉、青紫に列るの横暴を恣にせる平氏の中心的人物としての入道相国を見たり。
蜘蛛の圍の幻は、却て鄙下る蚊帳を
凌ぎ、青簾の裡なる黒猫も、兒女が掌中のものならず、髯に蚊柱を號令して、夕立の雲を呼ばむとす。
それはラプンツェルが、退屈
凌ぎに、かわいらしい声で歌っているのでした。