若鮎は、水垢を求め得られないので、川虫や藻蝦のやうな
動物質の餌ばかりを食ひながら上流へ、上流へと溯つて行く。
子供の群の前後には、赤い腹を白い灰のような土の中に横たえた醜い小
動物の死骸が、いくつもいくつもころがっている。
今までは、主人だと思っていた相手の男が、ただ自分の生命を、脅そうとしている一個の
動物——それも凶悪な
動物としか、見えなかった。
彼は、マスクに口を蔽った、人間よりも、
動物に近い顔をしている。
若鮎は、水垢を求め得られないので、川虫や藻蝦のような
動物質の餌ばかりを食いながら上流へ、上流へと溯って行く。
これは顔でも同じ事で、下顎骨の張つた頬のあたりや、稍大きい口の周囲に、旺盛な
動物的精力が、恐ろしい閃きを見せてゐる事は、殆壮年の昔と変りがない。
——「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、ずうずうしい、うぬぼれきった、残酷な、虫のいい
動物なんだろう。