北国の六月は晩春の物悩ましさと初夏の爽かさとをこき混ぜた陽気である。
先刻も一度その(
北国一)を大声で称えて、裾短な脛を太く、臀を振って、ひょいと踊るように次の室の入口を隔てた古い金屏風の陰へ飛出して行ったのがこの女中らしい。
いい天気で、暖かかったけれども、
北国の事だから、厚い外套にくるまって、そして温泉宿を出た。
母親のお鳥に連れられ、内地をおさらばしてこの
北国の黄風島に移住してきたのだが、なぜ母親があの気持のいい内地を去るような気持になったのか腑に落ちない。
病弱な身体で寒い
北国に行くことは、みんなから反対を受けた。
立待崎から汐首の岬まで、諸手を拡げて海を抱いた七里の砂浜には、荒々しい磯の香りが、何憚らず
北国の強い空気に漲ツて居る。
加賀でしたか能登でしたか、なんでも
北国の方の同人雑誌でした。
殊に日が暮れてからは、摩耶颪なり水の上なり、流石に
北国生れの若侍も、多くは歯の根が合はないと云ふ始末であつた。