そして死病にかゝつた後にいふ事は
取り上げないやうに近親に頼んで置くのがよいと思ふ。
玄白の手元に来たとき、彼もにこにこ笑いながら
取り上げた。
綱利は奇特の事とあって、甚太夫の願は許したが、左近の云い分は
取り上げなかった。
田代君は存外真面目な表情を浮べながら、ちょいとその麻利耶観音を卓子の上から
取り上げたが、すぐにまた元の位置に戻して、
主人はその膳の前に紋付の羽織の襟を正しうやうやしく座つて白木の箸を
取り上げた。
さては女出入りが原因だなと、ただちにだいたいのめぼしがついたものでしたから、すばやく片手を伸ばすと、奪いとるようにして
取り上げながら、鋭く若者にいいました。
何が御意に召さなくて、あっしのいうことばかりはお
取り上げくださらねえんですかい。
西原氏はそこでまた、一つ杯を
取り上げ口へ運びながら私を上目で視て
そして君のほうには顔も向けないで、よんどころなくさし出された絵を
取り上げて見た。