そうして一本一本積んだ樹を
取り出して、隅から隅まで調べはじめましたが、不思議な事には、今度積み込んだ樹に限って一本も虫穴の明いたのがありません。
それはいってみれば、なんでもないことだが、カピタンのカランスが、座興のためだったのだろう、小さい袋を
取り出して皆に示した。
やはり同じ町内の酒屋の下女で、今年二十一になるお伝というのが、裏手の物置へ何か
取り出しにゆくと、やがてきゃっという声をあげて倒れた。
風呂敷をあけて勿体らしく
取り出したのは、芭蕉の「枯枝に烏のとまりけり秋の暮」の短冊であった。
と杏丸は懐中から、罫紙の綴りに、「番匠幹枝狂中手記」と、題した一冊を
取り出した。
小さく独り言をいつて、お文は厚い封書を其のまゝ銀場の金庫の抽斗に入れたが、暫くしてまた
取り出して見た。
なれどもころび候実証無之候へば、右証明を立つ可き旨、申し聞け候所、篠、無言の儘、懐中より、彼くるすを
取り出し、玄関式台上へ差し置き候うて、静に三度まで踏み候。
私はチョッキのポケットからペンナイフを
取り出し、それを開き、そのかわいそうな動物の咽喉をつかむと、悠々とその眼窩から片眼をえぐり取った。
右の手を左の袂に入れてゴソゴソやっていたが、やがて「朝日」を一本
取り出して口にくわえた。