鼠股引氏は早速にその球を受取って、懐紙で土を拭って、
取出した小短冊形の杉板の焼味噌にそれを突掛けて喫べて、余りの半盃を嚥んだ。
帆村が腰を一とひねりして、尻の隠袋から拳銃を
取出しながら、早や身体を玄関の扉にぶっつけてゆくのを見た。
そうしたとき母は従順に父の衣類を壁の釘にかけたりなんかしていたが、袂の中からお菓子の空袋や蜜柑の皮などを
取出して、恨めしそうに眺めながらいうのだった。
自分は自分のシカケを
取出して、穂竿の蛇口に着け、釣竿を順に続いで釣るべく準備した。
重い鞄を実験台の上で開いて、中から
取出したのは小型のラジオのような青色の器械だった。
それから彼の手が忙しくポケットをさぐって、紙巻煙草とライターを
取出した。
先生に侍して、雪に埋れた北海道を横断する自分は宛然腰巾着の如く、痩せて小さい躯を其横に据ゑて、衣嚢から新聞を
取出した。
風呂敷を解いて小さい徳利を
取出して、栓の堅いのを抜きまして、首を横にしてタラ/\/\と彼是れ茶椀に半分程入れて、
そして仏蘭西から輸入されたと思われる精巧な頸飾りを、美しい金象眼のしてある青銅の箱から
取出して、クララの頸に巻こうとした。