僕は酔つ払つて良く気焔をあげる男だけれども、多分、僕の一生のうちに、
取手のトンパチ屋で飲んだ時期が最もおとなしい時期となるに相違ない。
三十歳以後は東京から京都——東京——
取手(茨城県)——小田原——東京。
殊に、川鱸には東京にいたころ、
取手の大利根川まで遠征したことがある。
その夜、故郷の江戸お箪笥町引出し横町、
取手屋の鐶兵衛とて、工面のいい馴染に逢って、ふもとの山寺に詣でて鹿の鳴き声を聞いた処……
すると男は不意にドアの
取手をつかみ、ドアを素早く閉めるとともにカルルを引きこんでしまった。
されど余はむしろ小利根河畔の松戸よりも、大利根河畔の
取手を取る。