老人は
古びた青天鵞絨を、少年は青い帽子に粗羅紗の上衣をきて、頸には青い珠の珠数をかけてゐる。
夏の初から——六月の半頃から三月以上もかけ續けてやうやく
古びた竹の簾。
紅殻が
古びてい、荒壁の塀は崩れ、人びとはそのなかで古手拭のように無気力な生活をしているように思われた。
そして筧といえばやはりあたりと一帯の
古び朽ちたものをその間に横たえているに過ぎないのだった。
勿論一寸見たのでは木か金かも知れないほど
古びている。
それから卓の向うには、これも
古びた椅子が一脚、まるで忘れられたやうに置き捨ててあつた。
が、十畳の座敷には、赤い五羽鶴の毯が敷いてあるから、畳の
古びだけは分明ではない。
といへば、はや察せられるやうに、口繩坂はまことに蛇の如くくねくねと木々の間を縫うて登る
古びた石段の坂である。