彼は草鞋を履き、裃のやうな
古めかしい背広服に顔色の悪い丸顔を載せて、零れた人々を一人づつ甜めるやうな格巧をしながら、よろよろと彼を探し廻つてゐた。
しかも、現代においては危く忘れられかけている「俳句」という、この素朴な、
古めかしい、単純な形式の中に詩の精神がかくまでも燦然たる光を放つて蘇生しようとは。
ある意味では近代的とも云へる性格の持主、日疋祐三は、その
古めかしい道義の観念を、あらゆる行動の面に於て生かしきらうとした男にすぎない。
その夜、私は例によって、只ひとり食事をすませると、
古めかしい籐椅子を、崖のうえにうつした。
単調な、素朴な、そしてなんとなく神秘なその風琴の舞踏曲が、
古めかしい民謡のもつ独特な世界へ人々の心を惹き入れました。
別荘——といっても、二昔も以前に建てられて、近頃では余り人が住んだらしくない、
古めかしい家の中から、一人の百姓女が毬のように飛出して来た。
その音は軍艦の中とは思はれない程、
古めかしいものであつた。
それにつれて、祈祷の告知だった美しい鐘声も
古めかしい時鐘となってしまい、かぼそい喜捨を乞い歩く老ラザレフの姿を、時折り街頭に見掛けるのであった。
それ故に久しく廃って居りましたが、今日になって見ると、却って
古めかしい方が、耳新しい様に思われます。
戸外では風が鎧戸に吹きつけて騒々しい音をたて、また
古めかしい風見を、独楽のように、からから※していた。