貞
吉の実母が死んで、新しくきた人は、四人の男兄弟のうち貞
吉だけを可愛がった。
行李を預った車夫がモーローの捨
吉だとはお釈迦様でも御存知ないから、次第によっては、そっくり頂戴に及んでもめったに発覚の怖れもなかろう。
女の足で箕輪から山の手の番町まで往復するのであるから、時のかかるのは言うまでもないが、それにしてもちっと遅過ぎると十
吉は案じ顔に言った。
柳
吉はうまい物に掛けると眼がなくて、「うまいもん屋」へしばしば蝶子を連れて行った。
そこへ——先客がひと通り立去った後へ、ひょっこり現れたのが亀
吉だった。
吉良は肝煎りするのが役目で、それで知行を貰っているのだ。
幕の間から、お揃いの手拭を、
吉原かぶりにしたり、米屋かぶりにしたりした人たちが「一本、二本」と拳をうっているのが見える。
物事はさかさまになるもので、かたきを討たれた
吉良の脇指が、今度はかたき討ちのお役に立つ。
俺は、俺を呼び止めたのが甲
吉だと知ると、思い切り詰らなそうな顔をして見せた。