優雅な
和やかな、しかし、やはりうち閉された重くるしさを感じます。
令嬢は画布越しに少年のもぢやもぢやした毛髪を視凝めてゐたが、次第に
和やかな落付が湧いてきた。
この日は京都画人の座談会という風なもので、一同時間を忘れ、いつか日が落ちて、あわてて座をたつといった、まことに
和やかな風景でした。
洗練されたものには、
和やかさ柔かさ、上品な明快さがひとりでにそなはる。
安治川口から汽船で美しい高知港の牛江へ入ったのは春の陽が
和やかに照った眞ひるであった。
と、言う
和やかな母の声が、群れ泳ぐ笊のなかの鮎を、首を突っ込んで覗いている私に聞こえた。
——立騷いだ後の
和やかに沈んだ官能(耳)が一層澄んでそのさわやかな雨滴の音が頭の底まで泌みるやうな冷快な感じがして來た。
私はしかし、小さい頃から
和やかな瀬戸内海の自然に親しむよりは、より多く人間と人間との関係を見て大きくなった。
さう云ふ赤染衞門はもう盛りの過ぎた老婦人で、
和やかな額の上に分けた髮にも幾筋となく白髮が目に立つてゐた。