二千年も三千年も言ひ古るした、
哲理の發端で綜合である無常——僕は僕の生氣の失せた肉體を通じてこの無常の鏡を今更しみじみと聽きほれるのである。
居常唯だ書籍に埋もれ、味なき
哲理に身を呑まれて、徒らに遠路に喘ぐものをして、忽焉、造化の秘蔵の巻に向ひ不可思議の妙理を豁破せしむるもの、夏の休息あればなり。
「風流仏」、「一口剣」等に幽妙なる小天地想を嘔ひ、一種奇気抜く可らざる
哲理を含みたる露伴の詩骨は徒らに「心機霊活の妖物」なる道也の影に痩せさらばひぬ。
いかに深遠なる
哲理を含めりとも、情熱なきの詩は活きたる美術を成し難し。
二千年も三千年も言い古した、
哲理の発端で総合である無常——僕は僕の生気の失せた肉体を通して、この無常の鐘の音を今更ながらしみじみと聴き惚るることがある。