「まあ! あなたはまだそんな気持ちでいるの?
困るわね。
別に活計に
困る訳じゃなし、奢りも致さず、偏屈でもなく、ものはよく分る、男も好し、誰が目にも良い人。
褄は花の如く開かねば趣ないといふ廃頽的の江戸趣味も
困るが、この理由をもつて、だからこそ和服も行灯式のスカートにせよといふ改良論者はまた行き過ぎる。
「そうですとも! 理想は則ち実際の附属物なんだ! 馬鈴薯も全きり無いと
困る、しかし馬鈴薯ばかりじゃア全く閉口する!」
酒を呑んで書くと、少々手がふるえて
困る、然し酒を呑まないで書くと心がふるえるかも知れない。
元より破門の沙汰がある上は、伴天連の手もとをも追ひ払はれる事でござれば、糊口のよすがに
困るのも目前ぢや。
若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を費ひ尽して、その日の暮しにも
困る位、憐な身分になつてゐるのです。
それを今出すとすれば、子供の世話に
困るのは勿論、暮しさへ到底立ちさうにはなかつた。
武「余り大きな物へ入れちゃア
困る、徳利が小さいから、これへ入れてやろう」