「在り場所」の例文

「在り場所」の書籍での例文

わが肉体が大地となって延長し、在るべき凸所に必定在る凸所として、山に健やけきわが肉体の一部の発育をみた。

富士

岡本かの子

それが尽きるとぱっと明るくなって、丸い丘が幾つも在る間の開けた田畑の中の道を俥は速力を出した。

東海道五十三次

岡本かの子

それから五六軒置いて錆朽ちた洋館作りの写真館が在る。

みちのく

岡本かの子

しかし自分ではそれぞれの在り場所が不思議なほどよく呑みこめていて、別にあらたまって整理の必要は感じたことがありません。

画室談義

上村松園

何が在るかわからないところへ、どうして踏み込んでゆくことができよう。

闇の絵巻

梶井基次郎

日本橋呉服町に在る宏壮な建築物の二階で、堆く積んだ簿書の裡に身を埋めながら、相川は前途のことを案じ煩った。

並木

島崎藤村

予は唯、竜動に在るの日、予が所謂薔薇色の未来の中に、来る可き予等の結婚生活を夢想し、以て僅に悶々の情を排せしを語れば足る。

開化の殺人

芥川竜之介

『それで事は解つた、室を見なさい、石は在るから。

石清虚

国木田独歩

然れども此の白晝横行の惡魔は、四時恆に在る者にはあらず。

蛇くひ

泉鏡花

昼間のＴ市とは全く別のＴ市が在ることに気付かないのだ。

深夜の市長

海野十三

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私はこうして在る。

中里圭

赤いスポーツカーはいつも其処に在るのだけど不思議と動いた形跡が感じられた。

ゴ

演劇、演技はこの特殊な繊細さの「芸術」性によって可能性の開かれた表現として在るのではないだろうか。

のまともき

横に、在るはずのない立派な暖炉があった。

水月

たった今、昔から在る創造が初めて行われたという事で、初めて言葉が語られ流れ出たということの力のうちにある。

笹井孝太

昨秋にも、まさしく京の鬼門に在る猿のお社日吉大社白山宮前で猿回しに出会った。

名草まさ美

関係性に在るわけですから、同列ないしは前後の世代との関係の中に人間を意識します。

松本紹圭

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